【緊急署名】商船三井さん:モーリシャス重油流出事故の責任を果たしてください
インド洋に浮かぶモーリシャス諸島。 サンゴ礁に縁取られた美しい海は、何千種もの生きものたちのすみかでもあり、「神はモーリシャスを真似て天国を作った」と形容されるほど、世界で最も美しい場所の1つです。
7月26日(日本時間 以下同じ)、この美しい島の沖合で、日本の長鋪汽船が所有し、商船三井がチャーターする貨物船「わかしお」が座礁して破損しました。これまでに流出した重油等は約1,000トンにのぼっています。
「わかしお」が座礁したポワントデスニーは、湿地保全を定めたラムサール条約(*1)の指定地域にも近く、絶滅危惧種の植物やチョウが暮らすマングローブや干潟が広がっています。
重油汚染は、何年にも渡って、モーリシャスの生きものたちと人々に影響し続けます。専門家は、重油に含まれる物質によってサンゴが白化し、魚たちにも影響するリスクも指摘しています。(*2) 島で暮らす人々の食料や、健康への被害も懸念されます。

これまで分かっていること
商船三井のチャーターする「わかしお」は、通常の航路をはずれて、島に近づき、座礁したとみられています。燃料として船に積んでいた重油や軽油4,000トンのうちの1,000トンが流出しました。
商船三井と長鋪汽船が最初の記者会見を行い、謝罪したのは、座礁から2週間もたった8月10日でした。報道もなく、国際的な支援が届かない間、島中から集まったボランティアの人々が、サトウキビや布、釣り糸、自らの髪の毛も使って、オイルフェンスを手作りしたり、手で石油をすくったり、懸命な回収作業を進めました。

報道によると商船三井は事故についての問い合わせに対し、自社の輸送事業の一環で起きた事故であるにも関わらず「当社は船をチャーターした立場であり原因などは船の所有者「長鋪汽船」に確認を」と、当事者とは思えないような距離をおいた姿勢をとっています(*3)。商船三井は2006年と2013年にも、大きな石油流出事故を起こしています(*4)。
国際的なルールでは、燃料漏れの事故の場合、船主が補償をすることになっています。しかし、実際に、補償額だけを見ても長鋪汽船や保険金などで支払われる額では、今後何年も続く海や住民の生活への被害を補償するには到底足りません。
この重油汚染の当事者企業には、こうした事故を二度と繰り返さないために、そして業界全体を地球環境や社会へ責任あるものに変えていくために、たとえ法的に求められる範囲を超えても、行動する社会的な責任があるのではないでしょうか。

この事故を「最後の事故」にするために
世界中が、美しいモーリシャスの海に真っ黒な石油が流れる写真を見て、そして、その事故の責任を負う立場の企業の対応が遅れたことに、大きなショックを受けました。
しかし商船三井と長鋪汽船は、この事故を教訓にして船をもっと安全で、持続可能にするために力を尽くすことで、業界全体を変えることができるはずです。
「今回の事故を本当に最後にする」という決意ととともに、商船三井と長鋪汽船に、以下の4つを求めます。
補償:
汚染を引き起こした者が、破壊された自然や暮らしを回復する費用を負担する「汚染者負担の原則」にのっとって、現地住民と積極的に話し合い、誠意をもって解決策を探ってください。
調査:
事故の原因について説明するとともに、原因と影響に関する第三者機関による調査を完全に公開してください。(その費用も負担)
航路使用中止:
事故を起こした航路の使用中止を約束してください。
自然エネルギーへの移行:
石油を使い続ける限り、油流出事故を終わらせることはできません。この事故を教訓とし、船舶の燃料を、重油などの化石燃料から持続可能な自然エネルギーへの移行を加速させるとともに、石油、石炭、ガスなどの化石燃料事業から撤退してください。
グリーンピースは、こうした行動についての話し合いの場として、商船三井に面会を求めています。ぜひ、悲劇を二度と繰り返さないように、謝罪だけでなく前進することを求めて、署名してください。
